みなさんこんにちは!
編集部の桃香です。
スウェーデンコラム第3弾は、シュールストレミング!!
日本でも死ぬほど臭いということで知名度が高い食べ物ですが、実際どんな味&匂いなのか気になりますよね~
スウェーデン在住18年目の筆者が、初めてシュールストレミングを食べてみた感想&食べ方などを写真と一緒にお届けします!
シュールストレミングの作り方は?値段はどれくらい?
シュールストレミングは聞いたことがあるけれど、よくわからないという方も多いと思いますので、ちょこっと解説すると、スウェーデン北部で食べられているニシンの発酵食品 (缶詰)です。
シュールストレミングの作り方は、ニシンを塩水につけて、発酵させていくというシンプルなものですが、その過程で様々なバクテリアによって、発酵が進むにつれ猛烈な匂いを伴う、世界最強の缶詰と言えます。
値段はだいたい、300gで30 kr~40 kr(スウェーデン・クローナ)なので、日本円では約400円~500円くらいでしょうか。(ちなみに、日本で買う場合の値段はまた異なりますので、そちらについては、この記事の下の方で買える場所と値段について説明をしています)
主にスウェーデン北部で、毎年8月(人によってが4月にも)に食べられていますが、南部では全くといって良いほど食べないそうです。
好き嫌いが極端に分かれる食べ物と言っていいでしょう。
義母宅でシュールストレミングパーティーに参加!
さて、私の義母は北部出身ではないのですが、昔から春や夏になると、自宅に友人たちを呼んでシュールストレミングパーティーを開催しています。
4月のある日、義母が恒例のシュールストレミングパーティーをすると聞いたので、今回私もお邪魔させてもらうことにしました。
義母宅に到着すると、義母の数人の友人たちと、夫婦2組の6人ほどが集まっていました。
みなさん口を揃えて「1回目で美味しいって言う人はまずいないわよ。みんな何年もかけてだんだんハマっていくのよ。」と言うので、相当なマズさということは、わかりました。
そして、テラスで早速目につきました、本日の主役シュールストレミング!
発酵が進んでいるため、缶が盛り上がっています!
なぜ外に置いてあるかというと、あまりに匂うので、家の中ではあけず、外で開けるのが鉄則だからです。
日本でもよく、テレビのバラエティー番組などで、狭い部屋に閉じ込められた芸人たちが、缶を開けて大騒ぎしているのを見かけますが、どんな匂いなのか気になりますね~
ここで、匂いの前にとても大事な、シュールストレミングの開け方について解説します!
シュールストレミングの開け方 (重要!)
みなさん、シュールストレミングってどうやって開けるかご存じですか?
缶詰なんだから、普通に缶切りを使って開けるんじゃないの?ですって?
いえいえ、そんなことをしたら開けた瞬間、四方八方に飛び散り、取り返しのつかない事態になりますので、決してそのまま開けないでください!!
順序としては、次のとおり :
① 万が一服に飛び散ることを考え、大きいゴミ袋などで体を覆う
② 缶の下にペンなどを置き、缶を斜めにする
③ 缶の上部に空洞ができるので、その部分を一か所缶切りで穴を開ける
④ 空気が出終えたら、ゆっくり残りを開ける
またその他にも、昔から使われている方法として、水を貼った桶の中で開ける、というものがあります。
義母はずっとこの方法で開けているそうで、今回もこの方法で開けていました。
まず、このように水を入れた桶などに入れます。
そして、更に大きめの布巾などで四方を覆い、ゆっくり開けていきます。
こうすることで、開けた瞬間爆発しても、水と布巾のツーバウンドあるため、飛び散りが少ないとか。
そこまでするのか、恐ろしやシュールストレミング・・・
私の隣で義母の友人のマダムが「水の中で開けても、万一顔に飛び散らないとも限らないから、あまり顔を近づけたりしないようにね。」と注意をしてくださいました。
ところで、水の中で開けたら、缶の中に水が入り、味が薄まるのでは、と心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、その程度の水で味が薄まるような、シュールストレミングではありません。
いや、むしろ、それで幾分でも味が薄まってくれれば、どれだけ良いかと、私は後に思いました。
いよいよ義母が合図とともに、開け始めました!
「プッシューーーーーーー!!!!」
という音と共に、今まで経験したことのない、強烈な匂いが鼻を攻撃し、思わず「くっさーーーー!!」と顔をしかめました・・・
あまりの匂いに、「うっ」とよろめきながら、周りを見てみるとなんたること!!!
先ほど私に「あまり顔を近づけたりしないようにね」と助言をくれたマダムのお顔&服が濡れているではありませんか!!!
マダムのメガネは、しぶきの水滴で、もはや見えないような状態に!
服にもシミが・・・マダム一体なぜそのような事態に?!
どうやら、あの後、彼女は布巾をもう少し被せようと、左側に移動していたようなんです。
あろうことが、彼女がいた位置がちょうど、缶から飛び散る角度だったらしく、一人しぶきを浴びてしまった模様・・・顔は近づけてないのに。
あまりにも気の毒で、なんと声を掛けようか迷っていると、当のマダムは特に気にすることもない様子。
さっとメガネを拭いて「もう、さっき言ったばかりなのにね。ほほほ」と私に冗談を言いながら、何事もなかったように中に入って談笑していました。
さすが、シュールストレミングを毎年食べているだけあり、肝の据わり方が違いますね。
明らかにマダムから凄い匂いがしていると思うのですが、誰も気に留めてない模様。
私なら、自分についた匂いで発狂していたでしょう。
こちらが缶から解放されたた、シュールストレミング。
待ってましたと言わんばかりに、溢れでています。
ともあれ、なんとか開けられたシュールストレミングですが、続いて、匂いについて詳しく解説します!
シュールストレミングはどんな匂い?死ぬほど臭いと言われる噂の真相は・・・
シュールストレミングは、日本ではよく「死ぬほど臭い」と言われますが、ここからは実際の臭いについて書いてみます。
先ほど、水の中で開けたにも関わらず、しぶきがマダムの顔にジャストミートしてしまったシュールストレミングですが、ではその肝心の匂いはというと、
「猛烈に吐き気を催す不快な臭い」
に限ります。
例えるなら、バキュームカー数台&生ごみを一緒に並べたような、又は汚い公衆トイレと生ごみを一緒にしたような、とにかくなんとも言えない、不快な匂いでした。
バキュームカー、又は汚い公衆トイレだけではないのがポイントです。
生ごみも一緒に加えなくてはいけません。
よく、シュールストレミングは、日本のくさやと比較されますが、Wikipediaによれば、
臭気指数計ではくさやの6倍以上 (8070 Au) の値を示す
とのことですので、匂いのレベルは、くさやの比ではないことがわかりますね。
そういえば、2014年頃スウェーデンの音楽フェスティバルで、何者かかシュールストレミングの缶に、小型爆弾を設置して爆発させ、あたり一面大変なことになっていた、という事件を思い出しました。
その匂いたるや、大変だったことは想像に難しくありません。
ちなみに、日本では噂で、「シュールストレミングが臭すぎて、人が亡くなってしまった」なんてものもあるようですが、筆者が日本とスウェーデンの両方の情報を調べたり、こちらスウェーデンでも色々な人に聞いてみたのですが、そのような例は実際にはなさそうです。
さて、匂いにびっくりしましたが、開けた後は食べるため、缶ごと室内のテーブルへと持っていきました。
最初は部屋の中でプ~ンと匂って来る度に「うっ」となっていましたが、人間の鼻は良くできたもので、ある程度その場にいると慣れてきて、あまり匂いがわからなくなってきます。
さて、いよいよ実食ですが、その前にシュールストレミングの食べ方について、解説します!
シュールストレミングの食べ方
シュールストレミングはその匂い&味ゆえ、食べ方が大切と皆口を揃えます。
間違っても、缶からまるまる取って、そのまま食べるなんてことはやめましょう。
本場スウェーデンでは、シュールストレミングは、平たいパンに色々なものを挟んで、そのパンを丸めて食べます。
タコスのようなものでしょうか。
パンの中に入れるものは、以下のものが一般的です。
- 潰したじゃがいも
- トマト
- みじん切りにした紫玉ねぎ
- サワークリーム (gräddfil)
- スライスチーズ
この時、シュールストレミングは皮から身を崩して、お好みの量を入れます。
私はどうしても、一匹食べる勇気がなかったので、義母から少~しだけ譲ってもらうことにしました。
そしてビールなどのお酒も一緒に嗜むわけですが、ここで忘れてはいけないのが、スナップス (snaps)という強いお酒です。
これはスウェーデンのアルコール度数が高めの蒸留酒で、度数は32度だっだり、40度だったり様々ですが、香草で風味付けされているのが特徴です。
スウェーデンでは、このsnapsが祭りやパーティーなどでは必需品で、小さな小さなグラスにちょっと注いで、みんなでグラスを片手に歌を歌い、乾杯をしたあと、一気に飲み干します。(それを永遠と繰り返す)
私はお酒が飲めないので、こちらはお断りしましたが、匂いだけ嗅いでみたところ、良い匂いのものもありました。
続いて、実際に食べてみた感想をレポします!
シュールストレミングは美味しい?どんな味?
さて、いよいよシュールストレミング実食タイムがやってまいりました。
じゃがいもや玉ねぎなどをふんだんに入れて、少~しばかりシュールストレミングをパンの上に散らし、巻き巻きして、いよいよ食べていきますよ!(きちんと巻けていませんが)
「これは( ゚Д゚)!!!なんというマズさ!!!」
いやあ、びっくりしました。
なんて不味いんでしょう!!!!
口に入れ、噛み噛みした瞬間、鼻の中を先ほどのバキュームカーと生ごみの匂いが広がり、さらには口一杯に広がる、味わったことのないようなマズさで一杯に。
例えるなら、ウ〇チと土を混ぜ混ぜして、口にいれたらこんな感じかな、というような味です。(お食事中の方、すみません。また私はウ〇チも土も食べたことはありません。)
シュールストレミングに関しては、一般的に3パターンあると言われています。
① 匂いはダメだけど、食べてみたら匂いよりはマシ
② 匂いはなんとか大丈夫だったけど、食べるのはアウト
③ 匂いも食べるのも両方ダメ
私は匂いに関しては、強烈でもちろんびっくりしましたが、もしかしたら食べてみたら以外とイケるかも、と思っていました。
しかし、実際に食べてみたところ、私はこの中で選ぶなら②の「匂いはなんとか大丈夫だったけど、食べるのはアウト」でしょうか。
いや、③の「匂いも食べるのも両方ダメ」かな~
でもどちらかというと、食べる方がキツかったです。
とにかく飲み込めない。
なんというか、本能的に体が拒否している感じで、飲み込もうとしても、自然に「オエッ!」となって飲み込めないんです。
こんなっことは初めてでした。
でもみんな談笑しながら、食べているのにここでウ〇チの味がするなんて言えませんし、何とか飲み込まなくては!!と一生懸命集中していると、
「味はどうだい?」
「日本では、似たようなものはあるのかい?」
などと、みんなが私に注目しているではありませんか!
やめて~話かけないで~余計飲み込めなくなる~~!!と涙目にりながらも、なんとか飲み込みましたが、あまりにマズいので、お酒の飲めない私も慌てての少量スナップスを流しこみました。
いやぁ~スナップスという強いお酒のお陰で、口の中が洗浄され、これは確かに必需品ですね。
そのあとも、もしかしたら慣れるかも、と思い2回ほどなんとか飲み込んでみましたが、飲み込んだ後も、その後の口に広がる不快な匂いで、本当に吐きそうになり、そこで流石にストップしました・・・
シュールストレミング VS 納豆
シュールストレミングを頑張って口にし、吐き気をもよおしていた私に、義母が「どうしてもダメなものってあるわよね~。私も日本の納豆だけは、どうしても食べられないし、匂いもダメだわ。シュールストレミングと同じよね。」と言っていました。
そう、納豆は海外では嫌われもので、スウェーデンでこのかた一度も納豆が好き、というスウェーデン人に会ったことがありません。
まずあのネバネバした見た目からして、いかにも「腐っていますよ~」感が出ている点でアウトのようです。
さらに匂い。
この納豆の匂いもスウェーデン人にはダメなようで、なんとか食べてみても、味も受け入れがたいよいです。
しかしながら、シュールストレミングの場合、その強烈な匂いから、スウェーデンではアパートなどで缶を開ける場合、近隣の住民の迷惑を考え、事前に廊下などに貼り紙をして、警告することが推奨されています。
では納豆はどうでしょう。
日本のアパートで「502号室の〇〇は、明日の朝納豆を開けます。ご了承ください。」なんて張り紙を廊下に貼る必要はありませんよね?!
そんなに匂いませんので。
そう考えると、義母には申し訳ありませんが、やはりシュールストレミングと納豆を、同じレベルと考えることは難しいでしょう。
ちなみに、パーティーの後、私はバスと電車で帰宅したのですが、バスに乗っていると、なんか匂ってきます。
誰かオナラでもしちゃったのか、はたまた子供が漏らしちゃったのかな、お母さん大変だな、などと考えていると、その匂いの原因はなんと私だったんです!
そう、強烈なシュールストレミングは、しぶきを浴びなくても服や髪に匂いがついてしまうんです。
恐るべしシュールストレミング!!
帰宅した私は、真っ先にコートを外に干し、シャワーを浴びて匂いを取りました。
もう食べることはないかな・・・。
シュールストレミングは日本のAmazonなどの通販で買える?
さて、ここまで読んで「ぜひ食べてみたい!」と思っている方、ご安心ください。
日本でもシュールストレミングは買うことができます。
日本では、川口貿易株式会社さん、三幸貿易株式会社さんがシュールストレミングの輸入を扱っているようですが、普通にアマゾンでも購入できます。
アマゾンでは一缶5,940円とスウェーデンの約10倍の値段です。
楽天でもありましたが、Amazonよりももっと高くてびっくりしました。
なぜそんなに高いのか。
その理由はその輸送にかかるコストにあります。
シュールストレミングは、あまりの匂いのため、ほとんどの航空会社での輸送が禁止されているそうですが、三幸貿易さんは航空規制液体「国連番号3334」というものに指定して空輸しているため、運賃が高いのだそうです。
三幸貿易の担当の方によれば、
「航空規制液体とは、国連が定めた国際標準の約3000種類ある危険物の中の液体にあたります。かなり細分化されている中で3334というのは極めて珍しいらしく、他に該当する商品は今の所、見たことがありません。そもそも、毒劇物や爆発物用の規格なので食品に使用されるのは食品輸入商社の私達も、シュールストレミングでしか見ない物です。」
とのことですので、厳重に空輸されているかが、わかりますね。
強烈な匂い&味のシュールストレミング。
日本でが輸入コストの点から、かなりのお値段ですが、それでも食べてみたい!という方は、ぜひチャレンジしてみてください!
まとめ
今回は、スウェーデンの発酵食品である、シュールストレミングについての実食レポを、写真とともにご紹介しました。
シュールストレミングの開け方から始まり、食べ方や味、またどんな匂いなのかも詳しく解説し、その他、シュールストレミングの値段や、日本で通販で購入できるのかも解説しました。
食べたこともないし、食べる予定もないけど、興味のある方も、これから食べてみようと思っている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね!