シンガポールと言えばチキンライスやマーライオンが有名ですが、シンガポールの国旗にはどんな意味や由来があるのでしょうか?
シンガポール国旗に使われている色の象徴、そして描かれているデザインの意味や由来についてご紹介します。
シンガポールの国旗には三日月や星が使われているため、トルコやイスラム圏の国旗と似ている感じがしますが、他のシンガポールと似ている国旗もあわせて見てみましょう。
また、最後に簡単にシンガポールの首都についても触れています。
シンガポールの国旗の意味と由来
こちらがシンガポールの国旗です。
サッパリとしたデザインで、洗練された感じがいいですね。
シンガポールの国旗の比率は縦横2:3になっています。
では、デザインや色の意味や由来を見てみましょう。
シンガポールの国旗の色の意味
シンガポールの国旗には、赤と白が使われています。
それぞれの色が象徴しているのは
- 赤:世界人類の友愛と平等
- 白:広がり、永遠に続く純粋さと美徳
となっています。
これらの色は、周辺の東南アジアの国々の国旗から影響を受けていると言われています。いくつか見てみましょう。
マレーシアとインドネシア、そしてタイの国旗を並べてみました。
細かい色合いは違うものの、みなシンガポールと同じく赤系と白系の色が入っていますね。
シンガポールの国旗の三日月と星の意味
そしてデザインの方ですが、シンガポールの国旗には三日月と星が描かれています。
これらは
- 月:上昇する若い国家
- 星:民主主義、平和、進歩、正義、平等
を象徴しています。
ただ、三日月というと、イスラム教の国旗によく使われているモチーフですので、「あれ?」と思った方もいらっしゃるかも知れません。
シンガポールの国教は何教なのでしょうか?
多民族・多宗教のシンガポール
実は、シンガポールでは国教は定められていないのです。
ですが多民族国家であり、国内には仏教、キリスト教、イスラム教、道教など、様々な宗教を信仰する民族が共存しています。
シンガポールが独立することとなった際、初代首相のリー・クアンユーはシンガポールが多民族国家であることに触れ、「多民族が平等に共存できる国であることを世界に示そう」と演説の中でうたっています。
様々な宗教や信条のモチーフを採用
このようにシンガポールは多民族国家ですが、住民の7割以上が中華系です。
そのため、シンガポールの国旗をデザインする際にはまず、中国の国旗の5つの星を参考にしたと言われています。
ちなみに、中国の国旗は5つの星がある紅色の国旗であることから「五星紅旗」と呼ばれています。
この中国の国旗の星をシンガポールも取り入れたんですね。
そして星とともにシンガポールの国旗に描かれている三日月についてですが、こちらは国内のイスラム教徒の要望から国旗に取り入れることとなったそうです。
そういったわけで、シンガポールの国旗のデザインは、様々な理念や宗教が象徴されているものとなっています。
シンガポールの国旗の取り扱いには要注意!
国旗の扱いにはルールが
シンガポールでは、国旗はシンガポールの理念や信念、価値観などが込められたものであり、敬意をもって扱うこととされています。
そのため、国旗の取り扱いに関して、細かいガイドラインが定められており、違反すると処罰の対象ともなります。
シンガポールの国家遺産局のサイトでは、国旗の扱いに関する情報やQ&Aも載せられており、
- 国旗はどのように掲げられるべきか
- いつ国旗を掲げたらいいのか
- いつ車にミニの国旗をつけてもいいのか
- シンガポールと他の国の国旗を同時に掲げたい場合はどうするか
- 悪天候の場合、国旗はどうするか
- 夜に国旗を掲げてもいいのか
- スポーツ観戦で国旗を振ってもいいか
- どこで国旗が買えるか
などなど、多くの具体的な質問に関するガイドラインが載せられています。
「悪天候の場合、国旗はどうするか」ということや「夜に国旗を掲げてもいいのか」といった質問などは、一見不思議にも思えますね。
これは、「国旗は敬意をもって扱われるべきである」という理念がもとになっており、悪天候の場合に国旗を野ざらしにしておくとか、夜真っ暗な中に国旗をただ掲げておくといった行為は、国旗に対して敬意を欠いているとみなされているからなのです。
そのため、そういった場合どうするかといったガイドラインが細かく決められています。
国旗の取り扱いルールが緩和される時期
このように、シンガポールでは国旗をどのように扱うべきかといった細かな規定があるのですが、こういった細かなルールが緩和される時期があります。
それはナショナルデーの期間(毎年7月1日~9月30日)です。
この期間であれば、国旗の扱いに関するルールは緩和され、国民は色々な場や方法で国旗を使うことができます。
それほど国旗に対して特別な想いがあるんですね。
国旗制定までの流れ
ではここで、シンガポールが現在の国旗をいつから使い始めたのか、簡単に見てみましょう。
シンガポールが現在の国になったのは1965年ですが、シンガポールの国旗は1959年から使われています。
マレーシアと融合、そして分離
シンガポールはマレー半島の南端にありますが、18世紀以降はイギリスの植民地になったり、次には日本軍によって占領されたりといった経緯があります。
1959年にはイギリスから自治領として認められ、シンガポール自治州となったのですが、この時に州旗として制定されたのが、現在も使っている国旗です。
その後1963年にはマレーシア連邦が誕生、シンガポールはマレーシアの中の一州として新たに出発します。
しかしそのわずか2年後、中華系住民とマレー系住民との抗争が勃発し、シンガポールはマレーシアから切り離される形で独立をさせられることとなります。
こうしてシンガポールがマレーシアから独立することになった際、これまでにマレーシアの一州の州旗として使っていた旗を改めて国旗として採用したのでした。
マレーシアの一州であった時に使っていた国旗を独立後もそのまま使っているんですね。
それでは、シンガポールと似ている国旗をいくつか見てみましょう。
シンガポールと似ている国旗
国旗には赤や白といった色はよく使われますし、また、イスラム圏の国旗では、月や星も使われることが少なくありません。
シンガポールの国旗と似ている国旗は他にどんなものがあるのでしょうか?
色が似ている国旗
まず、赤と白の二色旗で雰囲気が似ている国旗を並べてみます。
左上から右に、シンガポール、ポーランド、インドネシア、モナコの国旗です。
それぞれ似ているといえば似ていますが、シンガポールは三日月と星がある分、やはりパッと見てもすぐに区別がつきますね。
紛らわしいのはインドネシアとモナコでしょう。
国旗の比率は違いますが、両方とも赤系と白系の二色旗、しかも赤系が上に来ています。
赤や白で三日月や星がついている国旗
イスラム教の国では、国旗に三日月と星がついていることが多いですが、その中でも、旗の色がシンガポールと似ている赤や白を使っている旗を並べてみます。
左からシンガポール、トルコ、チュニジアです。
こうして見てみると、シンガポールの国旗と「似ている」とまでは言えないまでも、色やデザイン、雰囲気といったところでは互いを思い起こさせるものがありますね。
こうしてシンガポールの国旗を他の似ている国旗を比べてみたことで、シンガポールの国旗はもうバッチリ、パッと見てすぐにわかるようになったのではないでしょうか。
それでは、シンガポールの国旗に続いて、最後にシンガポールの首都情報について簡単に見てみましょう。
シンガポールの首都は?
シンガポールの首都というと、なかなか思いつかないのではないでしょうか。
それもそのはず、シンガポールには首都はあってないようなものだからです。
正解から言うと、シンガポールの首都は「シンガポール」です。
シンガポールという国名と同じ名前が首都とは、何だか変な感じがしますよね。
なぜ「シンガポール」なのか、その詳しい内容についてはこちらの記事をご覧ください。
シンガポールの首都の位置を地図で紹介!国の人口はどのくらい?英語は通じる?
シンガポールの首都はどこでしょうか?クアラルンプールが思い浮かぶ人も多いようですが、それはマレーシアの首都ですね。シンガポールの首都はどこか、首都の位置と場所を地図で紹介!また、シンガポールの国の人口はどのくらいなのか、観光の際に英語は通じるかどうかについても解説しています。
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ここで最後に、簡単にシンガポールの基本情報をまとめてみます。
シンガポール基本情報
国名 | シンガポール共和国(Republic of Singapore) |
首都 | シンガポール |
人口 | 約570万人(2017年) |
面積 | 約721.5 km²(2017年) |
公用語 | 英語、標準中国語(普通話)、マレー語、タミル語 |
民族構成 | 中華系74,3%、マレー系13,4%、インド系9,1%、その他3,2%(2016年) |
宗教 | 国教は定められていないものの、国内には仏教、イスラム教、ヒンドゥー教、道教など様々な宗教あり |
通貨 | 通貨 |
国旗 |
まとめ
シンガポールの国旗の意味や由来、そして簡単にシンガポールの首都についてまとめてみました。
シンガポールは多民族国家であり、人類の友愛や平等性を重んじており、それが国旗のデザインにも表されています。
こうして背景がわかって見ると、国旗の取り扱いに関する一見厳しいルールも、興味深く思えますね。