みなさんは、ネパールの国旗ときいて、どんな国旗なのか思い浮かびますか?
パッと思い浮かばない人でも、正解を見れば「ああ、見たことある!」となるでしょう。
それもそのはず、ネパールの国旗は世界でたった一つ、国旗の形が長方形でないものなので、一度見たら頭のどこかに残りやすいのです。
そんなネパールの国旗の意味と由来について、また、長方形でない理由はなぜなのかまとめてみました。
また、ネパールの国旗の簡単な描き方もご紹介します。
ネパールの国旗の意味と由来は?
まず、こちらがネパールの国旗です。
面白い形をしていますね。
ネパールの国旗の比率は、縦横4:3となっています。
国旗の形が独特な理由については下の方で解説をするとして、まずは国旗に使われている色やシンボルの意味と由来から見て行きましょう。
ネパール国旗の色の意味
ネパールの国旗に使われている色は、赤(真紅)がメインで、縁取りに青が使われています。
それぞれの色の意味は
- 赤(真紅):ネパールの国花であるシャクナゲの色 & 国民の勇敢さ
- 青:平和とヒマラヤの空
を表しています。
続いて、ネパール国旗に描かれているシンボルについて見てみましょう。
ネパール国旗のシンボルの意味と由来
ネパールの国旗の中には白色で2つシンボルが描かれています。
上のシンボルは月を表しており、下のシンボルは太陽となっています。
この月と太陽が使われていてる理由は、月と太陽のようにネパールが恒常的に発展することを願ってのことだと言われています。
月と太陽は大昔から、人間にとって大きな意味を持つシンボルです。
そんな月と太陽に国の繁栄の願いをかけ、国旗にシンボルとして使っているのは素敵ですね。
では、そもそもなぜネパールの国旗がこのような不思議な形をしているのか、その理由を見てみましょう。
ネパールの国旗はなぜ長方形でないの?
国旗の形が長方形でない理由
ネパールの国旗はギザギザしているように見えますが、よく見ると三角形が2つくっついているようにも見えますね。
ネパールの国旗はもともと、王家と宰相家がそれぞれ使っていた旗を合わせたものなのです。
ネパールでは、1768年にシャハ家がネパールの全土を統一し、王位を継承したのですが、そのシャハ家が使っていた旗が三日月をモチーフにしたもので、形は三角形の旗でした。
ところが、19世紀半ば~20世紀半ばまでの間はネパールを実質的に支配していたのは、王族のシャハ家ではなく、宰相のラナ家の方でした。
このラナ家が使っていた旗のシンボルが、太陽だったのです。そして形はやはり同じく三角形でした。
シャハ家の月の旗とラナ家の太陽の三角旗は、それぞれ別に長い間使われていたものの、ラナ家が実権を握ってからはシャハ家とラナ家の両方の旗を重ね合わせて使うようになって行ったのでした。
ネパールの旗は、このように2つの三角形の旗をくっつけたため、長方形ではなくてギザギザの形をしているんですね。
もともとの国旗には顔が
なお、当時使われていた旗には、月と太陽の中に人の顔が描かれています。
[出典:Wikipedia]
これは何とも可愛らしいですね。
ですが、1962年に現在の国旗が制定された際、この月と太陽の中の顔は取り除かれ、今のようなシンプルな月と太陽のシンボルになりました。
国旗に込められた別の意味
またこの形は、今では別の意味も込められているとされ
- ヒマラヤの形
- ヒンズー教と仏教
を表しているとも言われています。
ネパールにとって、ヒマラヤは神聖で重要なシンボルです。
また、ネパールの二大宗教がヒンズー教と仏教になっており、それぞれをこの国旗の形で表していると言われています。
もともと三角形というのは昔から西洋でも東洋でも神秘のシンボルとして使われてきましたが、ネパールでも、ヒンズー教や仏教に関係して、神聖なシンボルとして使われているそうです。
それにしても、世界で他の国がみな長方形を使っている中、たった1か国だけこのようにオリジナルの形をしているのは興味深いですね。
そんな独特の形をしたネパールの国旗ですが、何と描き方が憲法で決められているというのです。
ネパールの国旗を描いてみたいという方のために、簡単な描き方をご紹介します。
ネパールの国旗の描き方
ネパールの国旗の描き方が憲法で決まっている?
何と驚くことに、ネパールの国旗の描き方はネパールの憲法で決められています(第5条および第1附則、1990年11月11日採択)。
憲法では24ステップまで非常に細かく数学的に描き方が決められています。
とても細かく専門的のためここでは省略しますが、なかなか普通の人はこの方法では描けないのではないかと感じるくらいです。
ネパールの憲法が英訳されているサイトもありますので、もし興味のある方は直接見てみてください。
ネパール国旗の描き方(憲法第5条第1附則)/Nepal Constitution - Schedules
下の動画では、憲法で指示されている内容にそって忠実に描いてみた様子が載っています。
英語の動画ですが、どのように数学的に描いていくのか、見ているだけでもなかなか興味深いです。
ネパール国旗の簡単な描き方
上の動画のように描くのは骨が折れますが、もっと気軽にネパールの国旗を描いてみたい人のためにおすすめなのが、こちらの動画です。
こちらでは、ネパールの国旗を簡単に描く方法が紹介されています(無声動画です)。
この動画ではパソコンで描かれていますが、同じ描き方で手描きもできます。
描き方の手順
念のため、描き方の手順を簡単に文字でも書いておきますが、文字だとわかりずらいため、動画を観ながら描くのがおすすめです。
- 旗の上部の三角から取り掛かり、上から下に斜めの線を描く
- 上部の三角の底辺部分の線を半分ちょっと引く
- 下の三角の部分に取り掛かり、上から下に斜めに線を描く
- 下の三角の底辺の部分を描き、さらに旗の左側の縦線を上下につなぐ
- でき上がった形の外に、さらにもう一つ囲み枠を描く
- 旗の上部にギザギザ(ギザギザの角は8個)と三日月を描く
- 旗の下部にギザギザの太陽(ギザギザの角は12個)を描く
- 色をつける
で完成です!
数学的に正確に描いてみるのは大変そうですが、これなら誰でも簡単に描けますね!
まとめ
世界でも珍しい形のネパールの国旗の意味と由来をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
歴史的な背景も興味深いところですが、憲法で国旗の描き方が細かく制定されているというのも面白いですね。
ネパールの国旗がこれでちょっと身近に感じられるようになったのはないでしょうか。